便秘とは一般的に排便が何らかの理由により順調に行われない状態のことを言います。日本消化管学会編集の便通異常症診療ガイドライン2023では、「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」と定義されています。また、「慢性的に続く便秘のために日常生活に支障をきたしたり、進退にも様々な支障をきたしうる病態」のことを慢性便秘症と定義しています。つまり、何日も便が出ない状態だけが便秘ではなく、毎日便が出ていても量が少なくてすっきり出ない、いきまないと出ない、お腹が張って苦しいなどの不快な感じがあればそれも便秘なのです。
およそ10人に1人が便秘とされ(診断基準によっては3-4人に1人が便秘という報告もあります)、多くの方は「たかが便秘」と思われるかもしれません。しかし、便秘は生活の質を落とすだけでなく、便を無理に出そうといきんだ時などに、命に係わる心筋梗塞や脳卒中などのイベントが起こりやすいことも分かっており、「たかが便秘」ではなく「されど便秘」として適切な排便コントロールが大切です。