炎症性腸疾患とは消化管に炎症や潰瘍を生じ、出血、下痢、体重減少、発熱などの症状を起こす疾患の総称です。英語のInflammatory Bowel Diseaseを略してIBDとも呼ばれます。一般的には、原因が明らかな(特異的)感染性腸炎や薬剤性腸炎は含めず、原因不明(非特異的)で慢性の経過をたどる、潰瘍性大腸炎とクローン病の2疾患を指します。発生率は世界的には、欧州、北欧や北米に高頻度で、日本、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカは中等度とされています。他のアジア、アフリカ、南米には少ないとされていますが、近年その発生率が上昇していることが報告されています。日本での発生率は欧米と比べて五分の一から十分の一と推定されていますが、患者数は急激に増加しています。日本では、厚生労働省の難治性疾患政策研究事業の指定難病となっており、公費で医療費が補助されています。

炎症性腸疾患