ピロリ菌と胃がんの関係について~除菌すれば胃がんにならない?~|宮崎市清武町の加納さくら消化器・内視鏡クリニック|胃カメラ

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ピロリ菌と胃がんの関係について~除菌すれば胃がんにならない?~

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2026年10月18日

ピロリ菌と胃がんの関係について~除菌すれば胃がんにならない?~

健康診断や胃カメラ検査で、「ピロリ菌に感染している」「胃が萎縮している」と言われたことはありませんか?

ピロリ菌は胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となるだけでなく、胃がんの発症にも深く関係しています。

今回は、ピロリ菌と胃がんの関係、検査や除菌治療、そして除菌後の胃カメラ検査の重要性についてお話しします。

1.ピロリ菌とは?

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜にすみつく細菌です。

主に幼少期に感染すると考えられており、感染したまま放置すると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こります。

この炎症が長期間続くことで、胃の粘膜が薄くなる「萎縮性胃炎」や、胃の粘膜が腸の粘膜に似た性質に変化する「腸上皮化生」が生じることがあります。

こうした変化は、胃がんの発症リスクと関係しています。

【図1:ピロリ菌感染から胃がん発症までのイメージ】

※図は胃粘膜の変化を説明する模式図です。ピロリ菌に感染した方が、必ず胃がんになるわけではありません。

2.ピロリ菌を除菌すると胃がんのリスクは下がる?

ピロリ菌の除菌治療は、胃がんの予防に有効です。

2014年に発表された複数の研究をまとめた解析では、ピロリ菌を除菌したグループは、除菌しなかったグループと比較して、胃がんの発症リスクが約34%低下したと報告されています。

【図2:ピロリ菌除菌による胃がん発症リスクの低下】

ただし、これは研究対象者全体で認められた効果であり、すべての方のリスクが一律に34%低下するという意味ではありません。

胃の粘膜の変化が進む前に除菌するほど、胃がんの予防効果が期待できると考えられています。

3.除菌が成功すれば、もう胃カメラは必要ない?

いいえ。ピロリ菌を除菌しても、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。

長期間のピロリ菌感染によって生じた胃粘膜の萎縮や腸上皮化生は、除菌後も残ることがあります。

2025年に発表されたメタ解析では、除菌後の胃がん発症リスクについて、以下の結果が報告されています。

  • 高度の胃粘膜萎縮がある方では、萎縮がない、または軽度の方と比較して約3.4倍
  • 高度の腸上皮化生がある方では、腸上皮化生がない、または軽度の方と比較して約5.4倍

これらは相対的なリスクの比較であり、実際に胃がんになる確率を示したものではありません。

【図3:ピロリ菌除菌後も胃がんのリスクは残ります】

また、軽度・中等度の萎縮であれば胃がんのリスクがない、というわけでもありません。

除菌後も、胃粘膜の状態や年齢、胃がんの家族歴などに応じて、定期的な胃カメラ検査を受けることが大切です。

4.ピロリ菌はどのように検査する?

ピロリ菌の感染を調べる方法には、胃カメラを使用する検査と、使用しない検査があります。

それぞれの検査には特徴があり、服用中のお薬や過去の除菌歴などによって適切な検査方法が異なります。

特に、血液の抗体検査では、過去に感染していた方が陽性となる場合もあるため、結果の解釈には注意が必要です。

当院では尿素呼気試験、血中抗体検査を主に行っています。

なお、保険診療でピロリ菌の検査・除菌治療を行う場合には、原則として胃カメラによる胃炎の確認など、所定の条件があります。

5.ピロリ菌の除菌治療について

ピロリ菌の除菌治療では、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を組み合わせて、通常7日間服用します。

1回目の治療で除菌できなかった場合には、抗菌薬の種類を変更して2回目の除菌治療を行うことがあります。

治療中には、下痢・軟便、味覚異常、発疹などの副作用がみられることがあります。特に、強い発疹や息苦しさなどが生じた場合には、内服を中止し、速やかに医療機関へ相談してください。

除菌できたかどうかの確認も重要です

7日間のお薬を飲み終えただけでは、除菌に成功したとは限りません。

治療終了後、一定期間を空けて尿素呼気試験や便中抗原検査などを行い、ピロリ菌が除菌できたかどうかを確認します。

一般的には、除菌治療終了から少なくとも4週間以上空けて判定します。服用中のお薬によっては検査結果に影響するため、検査時期については医師の指示に従ってください。

6.まとめ

ピロリ菌は、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍だけでなく、胃がんの発症にも深く関係する細菌です。

除菌治療によって胃がんのリスクを減らすことができますが、除菌に成功しても胃がんのリスクが完全になくなるわけではありません。

大切なのは、ピロリ菌の感染を確認して適切に除菌すること、そして除菌後も胃の状態に応じて胃カメラ検査を継続することです。

当院では、ピロリ菌の検査・除菌治療に加え、除菌後の胃カメラ検査にも対応しています。過去にピロリ菌の除菌を受けた方や、胃粘膜の萎縮を指摘された方も、お気軽にご相談ください。

参考文献

  1. Ford AC, et al. Helicobacter pylori eradication therapy to prevent gastric cancer in healthy asymptomatic infected individuals: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2014;348.
  2. Kodama M, et al. DEN Open. 2025;5. DOI: 10.1002/deo2.70086.

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